風の谷のナウシカの最後はお墓?ラストシーンの意味について解説

風の谷のナウシカの最後はお墓?ラストシーンの意味について解説

スタジオジブリの名作アニメ、『風の谷のナウシカ』。

映画『風の谷のナウシカ』のラストシーンの最後に映るお墓のようなもの、気になった方も多いのではないでしょうか?

今回は、そちらのラストシーンの意味について考察していきたいと思います!

あのお墓は誰のものなのか?

ラストシーンに隠された意味も紐解いていきます。

ぜひ、最後までお楽しみくださいね。

 

映画『風の谷のナウシカ』の最後はお墓?

まずは、『風の谷のナウシカ』のラストシーンを紐解く前に、物語の背景や設定について、簡単に説明しますね。

 

『ナウシカ』ってどんな作品?

今年は映画館での上映もあったので、初めて『風の谷のナウシカ』を劇場で観たという方も少なくないのではないでしょうか?

まずは簡単に、映画『風の谷のナウシカ』の成り立ちをご説明しますね。

 

映画『風の谷のナウシカ』の原作は、宮崎駿監督による同名漫画の映画化。

原作の漫画が制作されている最中に映画の作成が始まり、映画『風の谷のナウシカ』は原作の2巻までの話になります。。

映画『風の谷のナウシカ』の設定は、”火の七日間”という世界最終戦争後。

「荒廃した世界」が舞台という意味では、SF好きにも堪らない作品ですよね!!

そんな『風の谷のナウシカ』、大人気作品ならではの色々な考察がされていますよね!

 

映画『風の谷のナウシカ』腐海とは?真の意味は?

『ナウシカ』の世界では、腐海という瘴気(しょうき)に覆われた森が存在していて、そこには毒素を出す植物が成長し、巨大に進化した虫が住処としていると思われています。

「人間がこの毒素を肺に取り入れてしまうと5分で肺が腐ってしまう」というナウシカのセリフがあるように、人間はこの毒素を吸わないようにするために、マスクをしなければなりません。

 

 

腐海は年々浸食してきてしまい、『ナウシカ』の世界は毒素で満たされつつあるため、人間が住める場所は限りが出てきてしまっています。

 

 

しかし、この腐海について、ナウシカは物語中盤で衝撃の事実に気付きます。

ナウシカがアスベルを王蟲(オーム)から助ける時、王蟲の攻撃を受けて腐海の底に落ちてしまいます。

ナウシカとアスベル絶体絶命!かと思いきや、腐海の底には浄化された世界が広がっていました。

ナウシカは風の谷の地下で秘密で腐海の植物を育てていましたよね?

 

ナウシカ 地下室

出典元:https://twitter.com/fincream/status/1284404592403337216?s=20

 

綺麗な地下の水で育てた腐海の植物は、瘴気を発せずにいました。

 

これの意味するところは

”腐海が瘴気を発しているわけではなかった”

ということ。

 

汚染されていない場所で育てれば、腐海の植物は害がない。

そして腐海の底に落ちて気付くのです。

腐海が瘴気を浄化してくれていたのだと。

つまり今まで信じてきた、「腐海の浸食が進んでしまうと人類が生きられない」というのは全くの逆だったわけです。

 

瘴気(しょうき)の正体は原作漫画に答えが!

ここまで読んで頂いて皆さま頭にハテナが浮かんでいると思います。

じゃあ、あの人類に害のあった瘴気(しょうき)と呼んでいたもの”はなんだったのか。

 

これは映画では真相は語られません。

ナウシカが1つの真実に辿り着いたところまでで今作は終わってしまう為、その事についてはわからないままストーリーは王蟲の群れへと進んでしまいます。

 

この”瘴気と呼んでいたもの”の正体。

実は、原作漫画ではこの”瘴気と呼んでいたもの”が何か、具体的な記述があります。

この瘴気こそが浄化された空気のことなんです。

 

では、この世界で人間が生きることのできる場所の空気は何か?

これが実は汚染された空気です。

実は、ナウシカ達人類は全て火の七日間の戦争後の汚染された世界で生きていける為に改良された人間でした。

 

なので、人類は腐海の浄化が進めば進むほど死にゆく運命にあるという事です。

簡単に具体例を出して説明すると、今の人類は二酸化炭素で生きていく種族だと思って頂けると、分かりやすいと思います。

腐海が酸素の割合を多くすれば人類が死に、正常な世界に戻ります。

その正常な世界を作り出す為に腐海や、腐海を守るオームがいたわけです。

 

これには当時原作を読んだ私もびっくりでした・・

社会風刺が過ぎて辛い・・・ってなっちゃいますよね。

 

映画『風の谷のナウシカ』ラストシーンの意味について解説

では、いよいよ映画『風の谷のナウシカ』のラストシーンについてです。

映画『風の谷のナウシカ』が終わる最後のシーンは、お墓のような場所にナウシカの帽子とそこから芽が出た葉、そして「おわり」と書かれているカットで終わります。

 

 

ここで「あれ?誰のお墓だ?ここはそもそもどこだろう?」と思った方多いのではないでしょうか?

 

お墓の場所は腐海の底

まず、場所ですが、これはナウシカとアスベルが落ちてしまった腐海の底になります。

風の谷の子ども達が、袋いっぱいにくれたチコの実を、腐海の底で食べましたね?

その種が発芽したものが、あの芽が出た葉だと思われます。

 

映画では、植物が育つ事ができる土がある場所は、瘴気が浄化された腐海の底しか描かれていません。

なので、お墓のようなものがある場所は、「腐海の底」と言えそうです。

 

飛行帽が示すメッセージ

そして、隣にある飛行帽。

これにはナウシカがメーヴェに乗り、腐海に近くに行く際瘴気を緩和するためのガスマスクがついています。

これが横に置いてあるということは「ここはマスクがいらない浄化された土地」というメッセージではないでしょうか?

ナウシカが後日、腐海の底を探しに行ったとも考えられますね。

よって、これはお墓ではなく、「世界の再生の印」と考える方も多いのではないでしょうか?

 

人類の墓

「世界再生の印」、ハッピーエンドということで物語が締め括られているように思いますが・・・

原作を読んでいる方は、そう簡単には読み取れないと思うでしょう。

 

実は、宮崎駿監督が『風の谷のナウシカ』の作成依頼を受け、取り掛かった際にアニメ化の話はなかったと言われています。

そんないきさつから、映画が原作2作目までの話を急ピッチで作成し、公開しなければならなかったそうです。

 

当初、宮崎駿監督は元々アニメーションとして作ることを念頭に置いていなかったため、かなり困惑したと言われています。

筆者独自の考察ですが、ここから考えられるのは、やはり宮崎駿監督が描きたかったのは、原作漫画版の「ナウシカ」なのではないでしょうか。

それでもアニメーションやってみようと宮崎駿監督が取り組んだのは、頭にあった原作の構想を少し変更して上手く長編アニメとしてまとめられると言う考えが生まれたからでは?と私は考えています。

 

なので、このお墓のラストシーンには、2つの意味がこめられているのではないでしょうか?

  • 1つめは、先程記述した「腐海の底でアスベルと食べたチコの実が発芽して、浄化された空気と土がそこにはある」という解釈。
  • もう1つは、原作のラストでもある「汚染された空気でしか生きていけない、人類を思ってナウシカが立てた墓標」であるという解釈。

1人真実を知り、決断をした「ナウシカ」と時間の関係で自分の作品の構想を全て反映できなかった宮崎駿監督を思うと、そんな解釈もあってもいいのではないかと思えてきます。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

最後のシーンのお墓に関しては、「世界再生の印」と「人類の墓」という、相反する解釈を提案してみました。

 

ラストシーンだけでこれだけの意味を考えさせてくれる世界観のある作品、私が知っている作品ではそう多くありません。

映画を観てみんなで意見を共有するというのは作品鑑賞の醍醐味でもありますよね、そしてそれは解釈の余地がある作品だからこそ出来ることです。

 

また、『風の谷のナウシカ』は2020年の環境でこそ別の視点から考える意味が生まれた作品なのではないでしょうか。

最後のシーンは果たしてお墓だったのか?どんな意味が含まれているのか?

 

是非皆さんのラストシーン考察、意味も聞かせてください!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。